ニュースリリース
鉄道車両用フルSiCモジュール適用VVVFインバータ装置の試験搭載について
このたび、京阪電気鉄道株式会社のご協力により、フル SiC モジュール(SiC MOSFET + SiC SBD)を適用した VVVFインバータ装置を開発し、現車への試験搭載により、ご評価いただく機会を得ました。
13000系 13024編成(7両編成)の大阪方先頭車(13074号車)VVVFインバータ装置の Si-IGBTパワーユニットを、フル SiC モジュール適用パワーユニットに置換えるとともに、主電動機も開放型誘導電動機から全閉内扇型誘導電動機に変更して、営業運転時の稼働状態情報を収集・評価いたしました。
なお、車両性能については回生ブレーキ領域の拡大等の変更は行わず、フル SiC モジュール適用によ
る小型・軽量化への寄与を立証することに主眼を置きました。
VVVF インバータ装置の評価に当たっては、先に試験運用を開始した「車両状態監視システム」※1を活用し、稼働状態情報をクラウドサーバー上に蓄積するとともに、データ分析を行いました。
フルSiCモジュールを適用したことで冷却器の小型化が可能となり、従来の Si-IGBT を用いたパワーユニットよりも大幅な小型・軽量化が可能となりました。
具体的には、現行パワーユニットに対し、重量比で約 56%減、体積比で約 66%減を達成しました。
現車搭載による検証
営業運転状態の検証は、「車両状態監視システム」により収集された稼働データを分析することにより行いました。
評価指標として、冷却器の最大発熱量[W]を用い、設計段階の推定値と車両状態監視システムで収集された現車データを比較することにより、設計の妥当性を確認しました。
※1 ニュースリリース「将来の状態基準保全(CBM)に向けた車両状態監視システムの試験を開始」
表1 データ分析結果
使用素子・誘導電動機方式 | 発熱量 | 低減量 | |
---|---|---|---|
Si-IGBT 素子 + 開放型誘導電動機 | 設計推定値 | 100※ | - |
フル SiC 素子 + 全閉内扇型誘導電動機 | 設計推定値 | 63 | 37%減 |
実運用データ1 | 56 | 44%減 | |
実運用データ2 | 64 | 36%減 |
※ 発熱量はオリジナル「Si-IGBT 素子 + 開放型誘導電動機」の設計推定値を 100 とする
まとめ
表1の分析結果より、実運用データが設計推定値相当の発熱量であることが確認され、計画通りの性能が得られていることを確認いたしました。
以上から、主回路半導体にフル SiC モジュールを適用することにより、発熱量の低減が図られ、VVVFインバータ装置の小型・軽量化へ寄与することを確認いたしました。
SDGsへの取組み
当社グループは、SDGs(持続可能な開発目標)への取組みを重要な経営課題と位置づけ、その具体的な取組みの指針としてサステナビリティ方針を制定しています。製品・サービスにおける取組みとして、卓越した当社グループの技術を用いて、持続可能な社会の実現に貢献する製品・サービスを提供します。
交通事業においては、高品質な鉄道車両用電機品の供給を通じて、世界の鉄道インフラの発展に貢献します。
・交通事業において重点的に取り組む SDGs
以上
本件に関するお問い合わせ先
東洋電機製造株式会社 経営企画部 広報・IR・CSR 課
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