技術開発情報

東洋電機技報 第130号

※ 技術論文、開発レポート、製品解説については東洋電機技報本文からの抜粋です。

技術論文

簡単な過回転防止機能をもつ風力発電装置
Wind turbine generation system which has a simple overspeed prevention function

野村 英児、佐藤 基、天野 哲生、井坂 勉、塩田 剛
Eiji Nomura, Motoki Sato, Tetsuo Amano, Tsutomu Isaka, Takashi Shiota

In the wind turbine generation system, there is a problem with cost and annual net power generation capacity. In order to solve these problems, we proposed the new wind turbine generator system (hereafter refer to as CC-less system) optimized to the wind turbine. The CC-less system consists of the permanent magnet synchronous generator (PMG), capacitor, reactor, and rectifier in order to achieve cost reduction. And its system approximately has a cubic output power characteristic against the wind turbine rotor speed using only passive elements, which did not require a power supply.
In addition, its system also has a simple overspeed prevention function. Currently, it was directly coupled with the straight wing non-articulated vertical axis wind turbine (SW-VAWT) and is examined on the roof of Toyo Denki Seizo K.K. building. From the field test result and view, it has been confirmed that the new CC-less system restrains the overspeed of wind turbine in strong winds.

<まえがき>
 地球温暖化による最近の気候変動の大きさが実感されるところであり、エネルギー資源の面からは「石油ピークがきた」と感じられる。このような状態から派生する「農業ピーク」、ひいては「文明ピーク」が来るのではないかとも言われている。このために、再生可能エネルギーの一つである風力発電システムの導入が急速に進んでいる。
しかしながら、風力発電システムの発電装置(本論文では、発電機+AC/DC変換部を指すこととする)においては、
1. 高コスト
2. 年間正味発電電力量が少ない
という問題点がある。
従来発電装置として、永久磁石型発電機(以下、発電機)を用いた整流方式とインバータ方式がある。整流方式は低コストであるが発電電力量が極めて少ない。インバータ方式は、PWM変換器を用いて風車最大出力を得ることができる。しかし、高コストであるとともに、制御電源電力が常に必要なために、年間正味発電電力量が少なくなる。
当社では、上記問題点1および2を解消する新型風力発電装置としてCCレス(Control-Circuit-lessの略)方式発電装置(以下、CCレス)を提案し、直線翼垂直軸型風車(以下、SWVAWT)と組み合わせたフィールド試験を行い、その優れたコストパフォーマンスを報告してきた。
また回転体である風車においては、過回転による風車翼の破損を防ぐために過回転防止が重要である。風車のブレーキ装置としては、1. 空力ブレーキ(翼と回転面との角度調整をピッチ制御機構により行い、回転速度を抑制する)、2. 機械ブレーキ(ディスクブレーキが主に用いられるが、その頻繁な使用は発熱・摩耗が問題)、3. 電気ブレーキ(発電機の短絡ブレーキ)、4. 油圧ブレーキがあるが、それぞれに問題点がある。
さらに高風速状態においても、定格出力を継続して取得できることも年間正味発電電力量増大の面で重要である。
このような状況から、1. 短絡ブレーキの特性検討と、2. 風車特性を把握して、高風速での過回転を電気的に防止できるCCレスの開発・試験を行った。このCCレスには、低コスト化を図るために、従来は2種類の巻線で構成していたCCレス発電機を通常の1種類の巻線で構成される発電機を用いた。そして、この発電機に直列にコンデンサを接続し、その進相電流による増磁効果を利用して、高風速でも過回転を防止できる過回転防止CCレスを試作し、SW-VAWTと組み合わせたフィールド試験を行った。
本論文では、1. 短絡ブレーキは高風速では効果がないという検討結果と、2. フィールド試験より、過回転防止CCレスが、高風速状態において過回転防止が行えるとともに定格出力を継続して得ることができたという試験結果を報告する。

研究レポート

オープン巻線電動機の制御法に関する研究
Research on the control method of an Open-Windings Motor

中間 貴生、大森 洋一
Takao Nakama, Yoichi Ohmori

An open-windings motor system is able to increase in the voltage applied to the motor without increasing the power supply voltage of the PWM inverter. This paper is related with the open-windings motor system driven with the PWM inverter of a DC power supply, and the PWM inverter of a capacitor power supply. It is the feature that zero-phase current flows by connecting the negative pole of the DC power supply and the capacitor especially. In this way, the capacitor voltage can be maintained, without dropping motor voltage. Further, the transmission of power is possible between the power source and the capacitor. That is, the charge and discharge control of the battery connected in parallel with the capacitor is possible. In the experiment, since the proposed method was able to apply the high voltage to a motor, it was able to extend the speed range as compared with the traditional method. Therefore, the speed range in power fixation of a permanent magnet synchronous motor can be extended by this system.

<まえがき>
パワーエレクトロニクスの発展により、多くの分野でACサーボシステムを用いる例が増えている。そのなかでも、自動車部品を試験する高速試験機では、高回転で高精度にモータを制御する必要がある。モータの回転速度が上昇するにつれ、モータ端子の電圧は上昇することが知られている。このモータ端子電圧を抑えるためにモータ磁束を小さくするとトルクが不足するため、モータ電流を増加させる必要がありモータの効率低下を招く。昇圧回路を用いてインバータに入力する電圧を高めることでモータにより高い電圧を印加できる方法があるが、昇圧回路を用いるとインバータの部品に加わる電圧が増加するため、高耐圧部品への置き換えが必要となり設備が高価になる。
オープン巻線モータの巻線両端にインバータを接続し、それぞれの出力電圧と位相を制御することで、インバータの電源電圧を上げることなく等価的にモータの印加電圧を上げることが可能なシステムが提案されており、近年さらに片方のインバータ電源をコンデンサに置き換えることでシステムの簡略化や高効率化を図ったシステムも提案されている。このシステムはインバータ電源としてコンデンサを用いるためコンデンサ電圧を制御する必要がある。またコンデンサはエネルギーを蓄えるだけで定常的に取り出すことはできない。そのためインバータの出力電圧ベクトルには制約があり、モータ印加最大電圧がモータ力率に依存して低下してしまう。
本論文では、オープン巻線モータを用いるシステムにおいて二つのインバータ電源の負極側を接続することで、モータ印加最大電圧がモータ力率に依存しないオープン巻線モータシステムを提案する。そして、実機実験により提案手法の有効性を確認する。

※ 第1号~第104号は目次のみの掲載です。


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