技術開発情報

東洋電機技報 第127号

※ 技術論文、開発レポート、製品解説については東洋電機技報本文からの抜粋です。

技術論文

双方向絶縁形DC/DCコンバータの動作と応用
Operating Principles and Applications of a Bidirectional Isolated DC/DC Converter

赤木 泰文、長谷川 一徳、中西 俊人、北条 善久
Hirofumi Akagi, Kazunori Hasegawa, Toshihito Nakanishi, Yoshihisa Hojo

This paper describes operating principles and applications of a bidirectional isolated dc/dc converter that consists of two full-bridge converters and a high-frequency transformer. A major motivation of research on the dc/dc converter is to achieve galvanic isolation and voltage matching without bulky line-frequency transformers for high-power conversion systems in the next-generation. The dc/dc converter is intended to use power switching devices based on silicon carbide (SiC) and/or gallium nitride (GaN), which will be available on the market in the near future. This paper also presents two kinds of experimental systems on the dc/dc converter. One is intended for the 6-kW 2-kWh lithiumion (Li-ion) battery energy storage system. The other is the 750-V, 60-kW conversion system intended for highpower applications such as a quick charger for electric vehicles. Both experimental results reveal that the maximum effi ciency of the dc/dc converter is measured to be as high as 97%, excluding gate drive and control circuit losses from the whole losses.

<概要>
シリコンカーバイド(SiC)やガリウムナイトライド(GaN)に代表されるワイドバンドギャップ半導体は、シリコン(Si)に比較して優れた物性値を有している。これらのワイドバンドギャップ半導体を用いた低損失・高速パワーデバイスの研究・開発が進められ、実用期を迎えつつある。SiC/GaNパワーデバイスは、現行のSiパワーデバイスと比較して低損失かつ高温動作が可能であるため、放熱フィン等の冷却装置の大幅な小型化が期待できる。その結果、電力変換器のパワー密度向上に大きく寄与する。
しかし、電力系統に接続する電力変換器においては、電気的絶縁と電圧整合のため商用周波数(50Hz/60Hz)変圧器を必要とする。このため、SiCパワーデバイスを用いて電力変換器の低損失化を実現したとしても、装置全体に占める商用周波数変圧器の重量・体積の割合が支配的となりパワー密度の向上には限界がある。
入出力間の絶縁を確保しつつ、双方向に電力伝送可能なDC/DCコンバータが注目されている。従来、双方向の電力伝送を必要とする応用は限られていたが、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、電気二重層キャパシタ(EDLC)に代表される蓄電デバイスの大容量化に伴い、電気自動車や電力貯蔵システムなどへの応用が進められている。なかでも、図1に示す2台の単相フルブリッジコンバータと高周波変圧器を用いた双方向絶縁形DC/DCコンバータが注目されている。これは、デュアル・アクティブ・ブリッジ(dual active bridge)などとも呼ばれており、10kW以上の大容量変換器に適している。また、電気的絶縁を高周波変圧器で行うことで、商用周波数変圧器を用いたシステムに比べ大幅な小型化を実現できる。本論文ではこの回路を単に「双方向絶縁形DC/DCコンバータ」と称す。1991年に双方向絶縁形DC/DCコンバータが発表された当時、パワーデバイスには第1世代IGBT(Insulated-Gate Bipolar Transistor)を使用し、高周波トランスの磁性材料にはフェライトを採用していた。これを考慮すると、直流入出力間の変換効率は90~92%程度であり、大容量の電力変換器のコア回路としてはまったく注目されていなかった。しかし、現在ではパワーデバイス技術の進歩によって実用レベルまで効率を改善され、最新のSi-IGBTやSi-MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)を用いた場合に96~98%の変換効率を得られることが報告されている。また、SiC-MOSFETをパワーデバイスとして用いた場合は最高で99%の変換効率が達成できると予測されている。
 本論文では、双方向絶縁形DC/DCコンバータの動作原理とその応用を概説する。応用例としてリチウムイオン電池を用いた電力貯蔵装置と、電気自動車用充放電装置用を目的とした750V 60kW双方向絶縁形DC/DCコンバータの実験結果を紹介する。

開発レポート

自動車試験機向け計測制御システムの開発
Development of measurement control system for automobile tester

五十嵐 祐介、鬼塚 勇一、近藤 謙太郎、加藤 英郎
Yusuke Igarashi, Yuichi Onitsuka, Kentaro Kondo, Hideo Kato

In recent years, the demand of HEV and EV is increasing in the world because CO2 reduction and concerns about escalating gasoline. In automotive development, in order to hold down a development cost, the automobile tester which imitates a motion of a real vehicle is used. Until now, our company has designed and supplied the motor which imitates the action of an engine or vehicles, and the inverter which drives it.
This time, we developed HMI and DSP unit for measuring and controlling the automobile tester. HMI is a graphic user interface of system for setting and monitoring. DSP unit can run a MATLAB®/Simulink® model at high speed, parallel processing is also possible because it has two or more CPUs. In addition, Star-Fabric and CS-bus has also developed in order to communicate with the inverter at high-speed.

<概要>
近年、先進国を中心にCO2削減や燃料高騰の懸念からHEV、EVの需要が増えており、自動車メーカは、より環境性能が高い自動車の開発を強化している。自動車開発においては、開発効率向上と開発費を抑制するために、自動車の動きを模擬する自動車試験機を活用している。 自動車試験機は、低慣性で高応答なモータを高精度で制御し、エンジンの特性、車体の振動、走行中の状態など実際の自動車と同様な条件を再現することによって、供試体の試験・検証を行うことができる。また、供試体を置き換えることが可能であるため、開発効率向上および、開発費軽減に寄与している。 当社はこれまで、自動車試験機に使用されるインバータおよび、モータを提供してきたが、今回、自動車試験機向け計測制御システムを開発したので説明する。

製品解説

VF66SVによるセクショナルドライブシステム
Sectional drive system by VF66SV

小谷 郁雄
Ikuo Kotani

Our company began the sale of the ED motor (Interior Permanent Magnet Synchronous Motor) that had a small and highly effective feature in 2000, and this ED motor is applied to a lot of industrial drive systems and is obtaining popular.
Moreover, our company developed the VF66B inverter considering easiness to use and the environment, then sales of a small capacity series and a middle to large capacity series began in 2008 and 2009 each.
In addition, high response and high frequency inverter VF66C have been sold since 2010 and large capacity servo VF66SV have been put on the market since 2011.
So, to answer customers' needs, our company has expanded the series of the VF66 inverter. However, the demand for the drive system is severe. And further high accuracy, high quality, and the diversification of the product are demanded within the country. Further reduction in costs is needed by appreciation of the yen in the foreign country.
In such a situation, our company should correspond to the customer's various demands and it is necessary to offer a drive system that is superior to other domestic and foreign drive makers promptly. VF66SV was developed in consideration of such a situation. By VF66SV, the achievement of a special inverter is enabled without newly developing hardware. It introduces the outline as follows.

<概要>
当社では2000年に小型・高効率のEDモータ(埋込永久磁石型同期電動機)の発売を開始し、産業用の多くのドライブシステムに適用され好評を得ている。
そして、EDモータを駆動する当社のインバータ装置は機能のカスタマイズ、使いやすさの向上、および環境に配慮してモデルチェンジを図ってVF66Bインバータの開発を行い、2008年に小容量シリーズを、2009年に中・大容量シリーズの販売を開始した。
さらに、主に車試験機などをターゲットとした高応答・高周波インバータVF66Cを2010年に、超高精度の速度・位置決めを行う大容量サーボVF66SVを2011年に、それぞれ開発を完了し発売を開始した。
このように、当社では顧客のニーズに応えるためVF66インバータのシリーズを拡充してきた。しかしながら、国内においてはドライブシステムの市場が厳しい状況で製品のさらなる高精度、高品質、多様化の要求があり、国外においては円高により一層のコストダウンが必要となっている。
このような状況において、当社は顧客のさまざまな要求に応え他の国内外のドライブメーカと差別化した競争力のあるドライブシステムを弛みなく迅速に提供している。
前述のVF66SVはこのような状況も踏まえて開発を行っており、ハードウエアを新たに開発することなく顧客のニーズに対応する専用インバータの実現を可能としている。以下にその概要を紹介する。

レアアースレスモータの開発
Development of rare-earth less permanent magnet type synchronous motor

小峯 孝之
Takayuki Komine

In general, a permanent magnet machines (PM motors) are high-effi ciency and compact size. A high-performance Nd-Fe-B sintered magnet is used for the PM motors. The Nd-Fe-B magnets contain the dysprosium to make high coercive force. However, the dysprosium has large price fl uctuation and the problem of resource.
Recently, the PM-assisted synchronous reluctance machines with the ferrite PM are attracts an attention.
We designed and confi rmed high effi ciency at low load in the PMASynRM.

<概要>
一般に小型・高効率のPMモータでは、高性能のネオジム磁石が使用されている。ネオジム磁石中に含まれるネオジムおよびジスプロシウムは、図1に示すように価格変動が大きく、さらには資源枯渇の問題など課題も多い。
そのような背景の中で近年、フェライト磁石が見直されてきている。フェライト磁石は、酸化鉄を主成分としているため材料が豊富にあり安価である。
今回、レアアースレスモータの可能性の一つとして、フェライト磁石を用いた永久磁石補助形同期リラクタンスモータ(以下、PMASynRMと略記)に着目した。特長として、フェライト磁石の磁力が少ない分、リラクタンストルクを有効に利用することで高出力とできる点、低負荷時でも高効率運転が可能である点が挙げられる。
またモータの基本構造は、現在当社で販売中のEDモータと変わらず回転子形状の変更で対応可能であるため、現在の生産技術、生産設備が適用でき低コストで生産可能というメリットもある。
このたび、当社のEDモータをベースとしたフェライト磁石モータを試作し、実機評価試験による効率特性を確認したので報告する。

※ 第1号~第104号は目次のみの掲載です。


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