技術開発情報

東洋電機技報 121号

※ 技術論文、開発レポート、製品解説については東洋電機技報本文からの抜粋です。

技術論文

PWMインバータで駆動されるIPMモータの損失解析
Loss Analysis of Interior Permanent Magnet Motor Driven by PWM Inverter

岸田 和也、花岡 幸司、牧島 信吾、河瀬 順洋、山口 忠
Kazuya Kishida, Koji Hanaoka, Shingo Makishima, Yoshihiro Kawase, Tadashi Yamaguchi

Permanent magnet motor (PM motor) are used as variable speed motor and used for the industrial application which demands small size and high efficiency. PM motor is driven by PWM inverter, and the improvement of reliability and the simplification of the system have been achieved with the sensor-less drive.
Neodymium magnet with large maximum energy product is used for the PM motor. The eddy current loss which occurs in the permanent magnet rises the temperature of the magnet and becomes the cause of making the magnet demagnetize. Therefore, it is necessary to clarify the loss when the PM motor is driven by PWM inverter.
It is well known that the electrical loss of the PM motor increase due to the carrier harmonics of the PWM inverter. However, the effects of the carrier frequency on the electrical loss are hardly reported. In this paper, an IPM motor driven by PWM inverter under the condition of several carrier frequencies is computed using the 3-D finite-element method.

<概要>
永久磁石同期電動機(以下、PMモータ)は可変速ドライブ用モータの中心的な役割を担っている。小型・高効率が要求される用途に用いられており、代表例として電気自動車、エレベータ、エアコン用コンプレッサなどが挙げられ、いずれも省エネに貢献しているといえる(1)。また、PMモータの駆動にはPWMインバータが用いられており、位置・速度センサレスベクトル制御により、信頼性やシステムの簡素化も実現されている(2)。
PMモータをPWMインバータで駆動すると、キャリア周波数に起因する高調波成分により、損失が増大することが知られている(3)。PMモータに使用される磁石は、優れた飽和磁束密度と固有保磁力を持つネオジム磁石が主流になっているが、モータ駆動時に永久磁石中で発生する渦電流損は磁石温度を上昇させ、磁石を減磁させる原因にも成り得る。渦電流損を低減させる方法として、磁石の分割数を変更する方法が知られているが、PWMインバータのキャリア周波数が損失に及ぼす影響に関して検討された例はあまり見当たらない。
渦電流損の大きさは、磁束密度の振幅が同一であれば周波数の二乗に比例する。一方、キャリア周波数を高くすると電流リプルが減少するため、磁束密度の振幅は小さくなる。そのため、キャリア周波数を高くしたときに、渦電流損が増加するか減少するかが定かでない。
PWM制御では、電流リプルが小さくなるようにキャリア周波数を駆動周波数より十分に高くした非同期式PWMが主流であるが、スイッチング損失の制約が厳しく、トルクリプルが許容できる用途では、キャリア周波数が駆動周波数と一桁程度しか違わない同期式PWMが用いられる場合がある。キャリア周波数が駆動周波数より十分に高いPWMでは、電流リプルを考慮した電流入力解析が可能であるが、同期式PWMでは、PWMパルスの過渡現象や駆動周波数成分との干渉が無視できない恐れがある。
本稿では、キャリア周波数を変えて生成した同期PWM電圧波形を入力として、三次元有限要素法による三次元磁界解析を用いて埋込磁石同期モータ(以下、IPMモータ)の損失を解析し、PWMインバータのキャリア周波数がIPMモータの損失に及ぼす影響を明らかにする。

開発レポート

鉄道車両用全閉内扇形主電動機の開発
Development of Totally enclosed type traction motor

山口 敏弘、花岡 幸司、茨木 保
Toshihiro Yamaguchi, Koji Hanaoka, Tamotsu Ibaraki

This paper presents Totally enclosed type traction motor with oil-lubricated bearings. This motor is interchangeable the motor of Hankyu Corporation of 8-car train of Series 9300.

<概要>
近年、低炭素社会実現の観点から鉄道車両が見直されている。鉄道車両用主電動機は、20年ほど前からインバータ制御にあいまって開放形誘導電動機(以下、開放形主電動機)が主流になっており、旧来の直流電動機に比べて小型・軽量化、単機の大出力化や省メンテナンス化が進み、その結果、鉄道車両システムとしての消費エネルギーの低減にも大きく貢献してきた。また、騒音低減への取組も進み、開放形主電動機においても、この20年間で10dB以上の低騒音化が実現している。(図1)
しかし、開放形主電動機は、主電動機内部の固定子巻線や回転子導体などの発熱部冷却用に外気を吸い込む構造で、入気口と排気口が設けられており、その部分から騒音が外部に漏れるため、これ以上の低騒音化は困難である。また、外気の入気はフィルタを通して行うが、塵埃の一部が機内に侵入し、長期間走行する間に機内に留まってしまう。このため定期的に分解して清掃を行う必要性がある。
これらの問題を解決する構造として、全閉形主電動機が注目されている。弊社でも全閉形主電動機の開発を行ってきているが、今回、軌間1435mm(標準軌)用200kWの大出力全閉内扇形誘導電動機を開発し、現車に搭載して各種の性能確認試験を実施したので報告する。

製品解説

東洋ワイヤレス計測システム
Toyo Wireless Measurement System

松野 嘉明、助森 慎吾、久保田 和雄
Yoshiaki Matsuno, Shingo Sukemori, Kazuo Kubota

Recently it is the national challenge to reduce the amount of greenhouse gas emission in order to stop global warming. As public members of a nation, all business enterprises and organizations are demanded to address energy saving or electric power saving. It is very important and useful to visualize power consumption and its trends.
Toyo wireless measurement system provides automatic data collection of electric current, voltage, power and energy, which consists of wireless sensors, receivers and PC software. Wireless sensors are self-powered, and the sensors are attached to the target equipments easily. An Excel document can be derived from a CSV output, which is used with varieties of applications.
We developed “μTURTLE-Monitor” which can visualize electric energy consumption. The software monitors and manages data collected by one or more Toyo wireless measurement systems.

<概要>
地球温暖化の観点から温室効果ガス排出量を削減することはいまや国家的課題となっており、省エネルギー・省電力への取り組みはあらゆる企業・団体にとって社会の構成員としての責務となっている。省電力推進に当たり、設備の使用電力量や電力変化を可視化することは大変重要であり、また効果的である。 東洋ワイヤレス計測システムは、無線センサと受信機及びパソコン(PC)上のソフトウェアから構成され、自動的に設備の電流・電圧・電力・電力量を収集するシステムである。自己電源方式及び無線方式を採用したことにより、容易に目的の設備に設置することができる。収集したデータはCSV形式ファイルを経由してExcel文書に変換することができ、さまざまな用途に活用できる。 今回、電力データの可視化のため、複数の東洋ワイヤレス計測システムにより収集されたセンサからの計測データを集め、1箇所で集中的に監視・管理するプログラム“μTURTLE-Monitor”を開発した。合わせて解説する。

※ 第1号~第104号は目次のみの掲載です。


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