技術開発情報

東洋電機技報 第120号

※ 技術論文、開発レポート、製品解説については東洋電機技報本文からの抜粋です。

技術論文

マトリックスコンバータ小型化のための三角波比較変調法
Triangle Wave Comparison Modulation for Matrix Converter Miniaturization

佐藤 基、大森 洋一
Motoki Sato, Yoichi Ohmori

Matrix Converter is an electrical power converter which can output arbitrary magnitude voltage of arbitrary frequency. In general, power circuit of the Matrix Converter is composed of 18 IGBTs stand for insulated gate bipolar transistor or 9 RB-IGBT stands for reverse blocking IGBT. This paper discusses The IGBTs are cooled down by using a fin made by aluminum for heat sink in the Matrix Converter.
In order to achieve the miniaturization of the heat sink, switching loss reduction is useful. Meanwhile, LC filter is connected between voltage source and input of the Matrix Converter in series for filtering input current harmonics. Thus, control switching of the IGBT with input current harmonics reduction is useful for the LC filter size miniaturization.
This paper proposes 3 novel controls of Matrix Converter based on triangle wave carrier comparison modulation that uses middle phase conduction ratio. All methods are designed to improve the input current harmonics and the switching loss compared with conventional method. This paper discusses among each method characteristics. In conclusion, proposed method 2 and 3 do not demand a complex algorithm. Numerical simulations confirm the effectiveness of switching loss reduction by method 2 and the effectiveness of source current harmonics reduction by method 3.

<概要>
近年、次世代電力変換器として着目されているマトリックスコンバータは、主回路に9つの双方向スイッチを持ち、それらのスイッチングパターンを選定するのに高い自由度を持つことから様々な変調法が研究されている(1)~(14)。
図1にマトリックスコンバータ主回路を示す。この回路は直接形3相/ 3相マトリックスコンバータ、あるいはダイレクトマトリックスコンバータなどと称されるものである。
例えば文献(1)では、制御周期内の転流回数を4回から3回に低減したうえに出力電圧高調波を低減することを特長としたマトリックスコンバータ変調法が提案されている。転流回数の低減はスイッチング損を低減し主素子の発熱を抑制することに繋がる。これにより、主素子の放熱フィンを小型化することができる。しかし、文献(1)ではマトリックスコンバータの入力電流高調波低減については言及されていない。
文献(2)では、入力電流高調波の低減について言及されたマトリックスコンバータ変調法が提案されている。この手法では、入力電流高調波を低減できる一方で、出力電圧高調波が文献(1)と比較して増加している。
これまでに、著者らは文献(3)(4)で電源中間相の電流を適切に制御することにより、従来のマトリックスコンバータが入力電圧の0.866倍を出力できなかった問題を解決する手法を提案した。この手法は、制御周期内の転流回数がおよそ平均4.5回である。
以上のような背景を踏まえて、本論文ではマトリックスコンバータの更なる小型化のために、入力電流の低次高調波低減によるLCフィルタの小型化と、スイッチング損の低減による放熱フィンの小型化を目指す。そのために制御周期内の転流回数を従来法の平均4.5回から3回に低減し、更に入力電流高調波低減に着目した手法を提案する。また、制御周期内の転流回数が3回や4回で従来よりも大幅に演算量が少ない手法を提案する。そのうえで、本論文では、文献(2)では論議されなかった入力電流の低次高調波の特性について論議し、よりLCフィルタが小型化可能な手法について、シミュレーションによりそれぞれを比較検討し、その特質を明らかにする。

技術論文

AEによる転がり疲れ過程における初期損傷モニタリングの研究
A Study on Incipient Damage Monitoring in Rolling Contact Fatigue Process using Acoustic Emission

大場 宏明、ムハマド ジアウル ラーマン、山本 隆司、吉岡 武雄、神長 史人
Hiroaki Ohba, Md. Ziaur Rahman, Takashi Yamamoto, Takeo Yoshioka, Fumito Kaminaga

Acoustic Emissions (AE) technique was applied to rolling contact fatigue tests with radially loaded two rollers running under constant load and velocity to detect the incipient damage and damage location. Signals detected from contacts were processed using signal conditioning and enhancement techniques by an AE source locator to bring out the difference between the signals from the sound and damaged rollers. It is found that AE hit counts pulse observations by the AE source locator can provide an indication of the damage at its very initial stage. The conventional AE parameters and AE signal features were studied, and correlated with AE source locator counts. Results obtained demonstrate the successful use of the AE monitoring combination with the AE source locator as a new technique for detecting incipient damage and forecasting the position of the damage in roller, and thus allowing the user to monitor the rate of deterioration of the rolling elements.

<概要>
鉄道用電気車においては、損傷や故障、更には予期せぬ運転停止を回避するために、動力伝達用駆動装置の歯車や転がり軸受などの転がり接触要素を対象として定期検査時に振動加速度法等を用いた異常診断が行われている。それに対して、定期検査の延長をはかりながら、しかも品質を確保して無保守で長期間の運転をするためには、損傷モニタリングにより早期に異常を検知出来るような状態監視が重要となってきている。
その手法として、アコースティック・エミッション(AE)法(1)は振動加速度法よりも高感度で早期に異常を検出できることから、異常診断や残余寿命の評価に有効に活用できると考えられる。AEは、固体が変形あるいは破壊する際に、固体がそれまで蓄えていたひずみエネルギーを開放する結果として発生する弾性波などと定義されている。
AE法を適用した損傷モニタリングの研究は、振動加速度法と比較する形で実施される場合が多く、軸受、歯車等を対象とした転がり接触要素に関する報告がある(2)~(5)。その評価のために、多くの研究者はあらかじめ試験片に人工欠陥を設けたり、潤滑油の中に異物を混入させたりして実施している(6)~(9)。また、小さな損傷を早期段階で検出するという観点からの研究も報告されている(10)~(12)。
我々は、AE法に着目してその基礎的研究として二円筒試験での転がり接触条件下における損傷のモニタリングに取り組んでいる。本報告では、実際の歯車装置の歯車材料の組合せである炭素鋼S40Cの高周波焼入れ材と低合金鋼SNCM420の浸炭焼入れ材を用いて二円筒試験を行い、その初期損傷の発生箇所の検出にAE法を適用した結果について述べる。

開発レポート

μGPCdsPの開発(PLC型DSP装置の開発)
Development of μGPCdsP (Development of the PLC type DSP device)

鬼塚 勇一、小谷 郁雄
Yuuichi onituka, Ikuo kotani

Our company develops, commercializes motor and inverters that drive the motor, and is delivering a lot of changeable velocity drive systems to the customer. And the μGPC series is developed as a digital controller which generalizes this changeable velocity drive system and controls so far and it has offered it to the customer.
Figure 1 shows the basic configuration of our drive system.μGPCsH is the latest digital controller of the μGPC series, and it controls by operating the ED64A inverter and the VF66B inverter by the field bus in this Figure 1.
And, cyclic time of the field bus is 1-3mS in every one inverter, and a real-time earlier feedback control is done from this on the inverter side. Then the control function and the sequence function is installed, and the user can customize the real-time, changeable velocity application to our inverter easily.

<概要>
当社は、モータやこれを駆動するインバータなどのアクチュエータを開発、商品化し、多くの可変速ドライブシステムを顧客に納入してきた。そして、この可変速ドライブシステムの全体を統括するデジタルコントローラとして、従来より、μGPCシリーズを開発し顧客に提供している。
ここで、図1は当社のドライブシステムの基本構成を示し、この図において、μGPCsHはμGPCシリーズの最新のデジタルコントローラであり、フィールドバスを介してVF64AやVF66Bインバータの操作、制御を行う。
そして、フィールドバスのサイクリック時間は1局のインバータ毎に1 ~ 3mSであり、これより更に早いリアルタイムなフィードバック制御はインバータ側にて実施している。ここで、当社では1990年代に制御用演算をモジュール化したスーパーブロックを開発し、近年はこれをVF64AにHC機能、VF66Bには制御ブロックとして展開してきている。このカスタマイズ機能によりユーザは、リアルタイムな可変速アプリケーションを容易にカスタマイズすることができる。

製品解説

VF66B 中・大容量シリーズ
The Inverter Series VF66B (Middle & Large Capacity Type)

中西 俊人、山本 知信、加藤 英郎
Toshihito Nakanishi, Tomonobu Yamamoto, Hideo Kato

Up to now, our company has sold the VF64 series and the ED64sp series. These are widely used in the application fields of fan pump, the print machine, and the film processing line, etc. Especially, ED64sp drives a permanent magnet synchronous motor (ED motor), and decreases the loss greatly compared with a past induction motors. Therefore, the running cost and CO2 have been reduced.
This time, we are developing next generation inverter VF66B series. VF66B is an inverter that has both past VF64 and ED64sp performances, and pursued easiness to use. The VF66B series is corresponds to RoHS directions, and an inverter easy as for the environment. In this paper, it introduces Middle & Large capacity type (11-1000kW) of VF66B that completes commercialization.

<概要>
近年では、温室効果ガスの削減や有害物質の影響排除といった環境への配慮を強く求められるようになってきており、当社においても地球環境保全を重要課題として取り組んでいる。当社インバータにおいても、永久磁石を用いた高効率モータであるEDモータ制御回路の搭載、RoHS指令適合といった環境配慮設計への対応のほか、より広いアプリケーションにインバータを適用し、電動化や可変速制御化を進めるため、カスタマイズ性を改善し、使い勝手を向上させるよう設計している。こうした点から、
・カスタマイズ機能の充実
・使いやすさの向上
・環境に配慮した設計
をコンセプトとした、欧州のRoHS指令に対応した新しい標準インバータとして、次世代インバータVF66シリーズの開発を進めており、2008年には小容量シリーズとしてVF66Bの2.2 ~ 7.5kWについて発売を開始した。今回、このVF66B小容量機に引き続き、容量を従来のVF64シリーズ,ED64spシリーズ(以下64シリーズ)と同様な容量範囲を拡大するVF66B中・大容量シリーズ(11 ~ 315kW(単機)、~ 1000kW(並列))の開発を完了した。VF66Bの中・大容量シリーズでは、小容量シリーズと同一の制御回路やオプションを採用しており、主回路・電源回路・構造部分を新たに開発した。本稿では、VF66Bの中・大容量シリーズへの容量拡大のほか、顧客の使い勝手をサポートするパソコンツール(PCツール)、通信オプション類の開発も完了したため、これらを合わせて紹介する。

※ 第1号~第104号は目次のみの掲載です。


PAGE TOP