技術開発情報

東洋電機技報 第111号

※ 技術論文、開発レポート、製品解説については東洋電機技報本文からの抜粋です。

技術論文

永久磁石同期モータ制御
Control of Permanent Magnet Synchronous Motor

大森 洋一、萩原 茂教
Yoichi Ohmori, Shigenori Hagiwara

We have finished the development of IPM Motors' series design up to 600kW for general industrial use, and started the application to Shaftless Tower Offset Printing Press, etc. As general industrial use, although an efficiency side is also thought as important, but when applied to the main part of a standard type of machine, the size and weight of motor is much important. IPM motor is overwhelming the guidance machine also in respect of this.
IPM motor drive of our company is considered as the ability of the almost same handling as vector control of an induction motor. Position and speed sensor-less technology, an automatic measurement technology of motor parameter, and the failure diagnosis technology of a position sensor are included in it.

<概要>
産業用ドライブにおいて、従来誘導モータ(IM)駆動が主流であったが、永久磁石同期モータ駆動に移行しつつある。それは原理上二次銅損がなく、磁束をつくるための励磁電流を流す必要がないため、効率、力率とも誘導モータに勝っており、さらに永久磁石の性能の飛躍的向上により小型で低コストとなったためである。図1は、110[kW]1800[r/m] 機の、インバータ用誘導モータと永久磁石同期モータ(以下PMモータ)の外観比較である。PMモータが誘導モータに比べて格段に小型化されていることがわかる。
永久磁石同期モータの構造例を図2に示す。これは、ハッチングの永久磁石が回転子の内部に挿入された埋込磁石構造(IPM: Interior Permanent Magnet)である。IPMの場合は磁石軸であるd軸方向よりそれと直交するq軸方向の磁気抵抗が小さくなるため突極構造となりd軸インダクタンスLdよりq軸インダクタンスLqが大きくなる。この突極性により、磁石トルク以外にリラクタンストルクが併用でき、更なる効率アップが期待できる。磁石トルクとは、回転子の永久磁石による磁界と巻線による回転磁界とが吸引反発して発生するトルクであり、回転磁界を発生させる電流の位相とは図3の細実線のような関係となる。リラクタンストルクとは、巻線による回転磁界に回転子の突極部が吸引されて発生するトルクである。よってLq >Ld となる逆突極構造では図3の波線に示されるようなトルクとなる。IPMは磁石トルクとリラクタンストルクの両方のトルクが得られるので、図3の太実線で示されたトルクを発生させることができる。
モータを自由自在に操るには、モータのトルクを制御できればよく、それには高速・高精度なトルク制御が可能なベクトル制御が適用できる。本論文では、位置や速度のセンサからの情報を用いたベクトル制御技術、位置・速度センサの故障や断線やノイズ混入などの諸問題を解決する位置・速度センサレスベクトル制御技術と始動技術、またベクトル制御に欠かせないモータ定数を計測設定する自動計測技術、位置センサ異常を検知し保護する脱調検知技術について報告する。

製品解説

台車試験装置用の軌条輪切削装置
Truck wheel cutting device for the bogie and driving device Test equipment

三宅 一郎、川端 一昭
Ichiro Miyake, Kazuaki Kawabata

The track wheels are equipped on rail road vehicles test equipment or on bogie and driving test equipment, and this is a cutting device for wheel tread of the top part of the truck wheel which has complex shape.
This is a bench test site stationary cutting device that is able to cut the complex shaped wheel tread without disassembling the shaft assembly where the truck wheels are mounted on, if deformation of the truck wheel tread is occurred due to abrasion or damage.

<概要>
本切削装置は鉄道車両用の車両試験台又は台車試験装置に装備されている、複雑な形状を有する軌条輪頭頂部の踏面の切削装置である。
台車試験装置等に設置されている軌条輪の踏面が、ベンチテストでの摩耗や損傷を受けていびつな形状を呈した場合に、その度ごとに軌条輪を台車試験装置から解体すること無く、そのまま現場において複雑な形状を有する軌条輪の踏面を修復できるようにした現場据置形の切削装置である。
この切削装置の導入により、従来、数週間掛かっていた踏面形状の修復を半日で済ます事ができる。
なお参照用として、軌条輪の装備された台車試験装置の一例写真を図1にて示す。

広島電鉄(株)5100形電車用駆動・推進システム
Driving gear and Propulsion Unit of Series 5100 Tramcar For Hiroshima Electric Railway

後藤 研一、畠山 卓也
Kenichi Gotou, Takuya Hatakeyama

TOYO DENKI SEIZO K.K.(Toyo Electric Mfg.Co.,Ltd) jointly conducted the development of the nation’s first 100% ultra low-floor LRV vehicle with Mitsubishi Heavy Industries, Ltd and Kinki Sharyo Co Ltd. Hiroshima Electric Railway Co., Ltd also joined the above development. This time, 100% ultra-low-floor LRV comes out as “Green Mover max” of the 5100 series tramcar for Hiroshima Electric Railway Co., Ltd.
The car configuration of this tramcar is 5 body articulated with 3 trucks. As the entire floor is fully flat, smooth getting on and off and comfortable mobility are provided to elderly and disabled persons. Thanks to improve maintenance for the domestic product and realize the better design suitable for the urban landscape, the railcar makes it come true that the public transportation system can be environment-friendly and people-friendly.
TOYO DENKI SEIZO K.K. took charge of making VVVF inverter unit, auxiliary power supply, traction motor, main controller, pantograph, and other main units of control system for this tramcar.
This paper introduces the outline of “Green Mover max” of the 5100 series tramcar, and mainly driving gear and propulsion unit.

<概要>
当社では、三菱重工業(株)殿、近畿車輛(株)殿と共同で、国産初の「100%超低床LRV車両」を開発、広島電鉄(株)殿にも開発に参画いただき、このたび、広島電鉄(株)殿5100形電車「Green Mover max」としてデビューした。
この車両は、5車体(3台車)連接1編成の構成で、床面を車内全長にわたってフルフラットとしたことにより、高齢者や身体障害者などの方々にも円滑な乗降と快適な移動を提供する路面電車である。
車両開発には、車載用電機品を当社が、台車の製造と本体組立てを三菱重工業(株)殿が、車体と連接部分を近畿車輛(株)殿がそれぞれ担当した。
5100形電車「Green Mover max」は、台車に車軸のない独立車輪を採用、台車をコンパクトにすることにより、出入口部の低床化と広い通路幅を実現した。電動機制御にはVVVFインバータ、制御には電気式・機械式を併用し、電気ブレーキ重視のシステムを導入することで、車両の運動性能と走行安定性を確保した。
その他、弾性車輪による低騒音・低振動化、回生ブレーキの採用により省エネルギー化、伝送制御の採用による信頼性の向上、システム・部品の国産化によるメンテナンス性の向上、都市の景観にマッチする高いデザイン性などを実現、環境にやさしい、人にやさしい公共交通を実現する車両となっている。 当社では、本車両用としてVVVFインバータ装置、静止形電源装置、主電動機、駆動装置、主幹制御器、パンタグラフ、車両制御伝送システム(TTCS)の主要電機品を担当した。
本解説では、5100形電車「Green Mover max」の概要を主に、駆動装置と推進システムについて紹介する。

商業用オフセット輪転機駆動用電気品
Electrical Equipment for Commercial Offset Rotary Press

小谷 郁雄、秋山 亨
Ikuo Kotani, Tooru Akiyama

Commercial Offset Rotary Press is a printer that prints on both sides of the inside and outside of continuous paper simultaneously, and does cutting paper and the fold in the final process. As a result, the newspaper tucking in advertisement, the handbill, and the pamphlet, etc. are printed.
Recently, the Shaftless method to drive the printer each part with an individual motor has come to be adopted as for the method of driving the rotary press. Moreover, a further performance improvement of the controller is requested in the commerce machine from which higher print accuracy is requested. High accuracy, synchronization, and the position control system Advanced Drive System that develops in our company is a lot of users and exists in operation now.

<概要>
商業用オフセット輪転機とは、給紙部にあるロール紙より繰り出される連続紙の表裏両面に印刷部で同時に印刷を行い、乾燥・冷却工程を経て折り畳み部で紙の切断と折り畳みを行う印刷機である。紙のサイズや印刷色数に応じて様々な機種が用意されており、印刷物としては新聞折り込み広告やチラシ、パンフレットなどがある。新聞輪転機との違いは、上質紙を用いてより印刷品質の高い印刷物を昼夜を問わず連続で刷ることである。
輪転機の駆動方法としては、従来より1台のモータで共通駆動軸(シャフト)を回すことにより、印刷機全体を動かしていたが、近年、制御装置の高機能高性能化に伴い、印刷機各部を個別のモータで駆動するシャフトレス方式が採用されるようになってきた。シャフトレス駆動の輪転機としては、既に新聞輪転機駆動システムで標準的に採用されているが、より高い印刷精度を求められる商業機においては、制御装置のさらなる性能向上が求められる。当社では、高精度同期位置制御システムAdvanced Drive Systemを開発・採用し、現在複数のユーザで運用に入っているので、その概要を紹介する。

※ 第1号~第104号は目次のみの掲載です。


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